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組織における多様性の意義

2024年8月10日

読了時間:4分

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今回は、今「なぜ多様性が重視されなければならないのか」ということについて、組織経営の視点で、でもやや私見も交えながらご紹介できればと思います。


ネアンデルタール人ということで!
この画像はゴリラですが・・・

生き残りには多様性が必須


皆さんは、ネアンデルタール人がなぜ絶滅したのかをご存知でしょうか?

最近では現代の多くの人の中にも数%ネアンデルタール人由来のDNAが含まれており、進化の過程で交雑したこともわかっていますが、それでも現在ネアンデルタール人は絶滅しています。


諸説ありますが、血縁関係を中心とした比較的規模の小さいコミュニティ(群れ)で生活していた彼らは、遺伝的にも数的にも多様性に乏しく、環境変化への適応が少なくとも私たちホモ・サピエンスよりも上手ではなかったようです。


ホモ・サピエンスは、今の私たちの生活を考えれば全く違和感ないと思いますが、血縁関係によるコミュニティの外からパートナーを迎え入れ、異なる家族コミュニティを包括するより大きな集団を形成することができます。


考古学者ではないので詳細は省きますが、遺伝的に同質性の低いコミュニティでは、例えば疫病が蔓延した場合など環境変化が生じても、その変化に強い形質を持つ個体が生き残るためコミュニティ自体が全滅してしまうリスクが低くなります。そしてそれは、そのコミュニティが持つ文化の維持や継承、変革にも寄与します。



VUCA(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)時代の生き残り戦略

複雑で不確実性の高い現代はVUCA時代とも呼ばれています。情報化が進み環境変化や技術革新のスピードが上がっています。また、最近では国際政治の面でも先の読めない状況が続いています。


先ほどの人類の進化の話は数万年かけて生じた変化への適応の話ですが、現代の私たちも生活や経済上の変化に日々直面しています。


こうしたことを背景に、これまでも事業の多角化が叫ばれてきました。ある部署の業績が悪くても別の部署でカバーできる、とか、あるいは分散投資などもそれにあたるかもしれません。もっと言うと、副業とかスラッシュキャリアとか、ネアンデルタール人の例を出すまでもなく、ハイリスクハイリターンの1点集中よりも、色々な可能性に少しずつ手を出した方がいいよね、と言う風潮は近年根付いているように思います。



組織の中の多様性が目指す戦略

しかし、少し考えて欲しいのですが、たとえ色々なことに手を出したとしても、組織のメンバーが非常に同質だったらどうでしょう?部署によって売っている商品や顧客が違ったとしても、同じような売り方をしているかもしれません。あるいは、社長の鶴の一声で意思決定がなされて、どの部署も横並びで同じような戦略をとってしまっていたら、せっかく事業を多角化してリスク分散したつもりでも、一つの環境変化で全滅してしまうかもしれません。


そこで重要になってくるのが、組織としていかにメンバーの多様性をリスク分散やイノベーション創出に活かすかと言うことです。同質性の高い組織の意思決定と同質性の低い、多様性の高い組織の意思決定は異なりますし、そもそもこれまで見てきた通り、戦略が異なります。


同質性の高い組織は、1点集中によりハイリスクでもハイリターンを狙えるわけですから、敢えてその戦略をとっているなら、しっかりとメンバーの意識もその1点に集中させることが重要です。一方で、多様性の高い組織はそもそもがリスク分散、あるいは「どれが当たるかわからない」前提で四方八方に可能性を見つけに行く戦略なのですから、そもそも、各チームの多様なスタイルを敢えて閉じ込めずに前面に出させるマネジメントを重視しなければ意味がありません。



まとめ


昨今では組織の中で多様性を受容する向きが強まっています。

そのことについて肯定的な人もいれば、中には否定的な人もいると思いますが、いずれにせよ、「多様性を受け入れるのは人権尊重の観点から当たり前だ」という倫理の観点から鵜呑みにして、思考停止になってしまうのは勿体ありません。


組織をマネジメントしている、あるいは組織の中で仕事をするビジネスパーソンであれば、多様性を受容した組織を作ることで目指している戦略が、きちんと機能しているか、あるいは、本当は組織の方向性を1点集中で加速させたいと言うフェーズで逆行した取り組みをしていないかなどを一度見つめてみるのが良いのではないでしょうか?


そして、リスク分散やイノベーション創出のために、戦略的に人材の多様性を高めたい、多様な人材が一緒になりながらもきちんとして組織としてまとまりを持って動きたい、そういった時には、心理的安全性に基づくマネジメントが生きてきます!

2024年8月10日

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